量を増やしていっても、一般的に完全に意識を失う以外、それ以上のサイケデリックな効果は得られない。
適量は、平均的な体重の女性の場合は、300~350ミリグラム、平均的な体重の男性の場合、350~375ミリグラムである。
150~175ミリグラムが、最少量だが、快適なサイケデリック体験にはこれで十分である。
トリップのための、筋肉注射の最少量は体重1ポンドあたり、約0.4ミリグラムである。
注射はあたりまえだが、無菌状態にしておくこと。100ミリグラムが、一般的に、筋肉注射の適量であると思われる。
注射の箇所は、数日から数週間、痛みが残ることは覚悟しなければならないだろう。
スニッフィングの場合、体重1ポンドあたり、1.8から2ミリグラムである。最少量は、体重1ポンドあたり、1ミリグラムである。
しかし、経口摂取量と比較すると、短時間で、全く異なった効果がある。
200ミリグラムが、一般的な体重のひとにとって、最初の摂取量としては適量であろう。
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ケタミンが引き起こす「臨死体験」
さて、こうした全身麻酔薬としては独自な特徴をもつケタミンが引き起こす状態を、いわゆる「臨死体験(NDE)」とみなしたドイツのジャンセン博士は、1995年に医学雑誌に同薬による「臨死体験」について報告している。
これは、ケタミンのその解離性、選択性だけではなく、おそらく、脳における、上記のような辺緑系の役割も関与していると推測されているが、ここでは、注目のNMDAレセプターをキーとして、ケタミンからNDEへと至るプロセスを図解してみよう。
下図のように脳を損傷させる様々な状態が発生したとき、グルタミン酸の大量放出が起こる。
グルタミン酸はNMDAレセプターに結合し、脳細胞を死に至らしめる。しかし、脳は自己保護機構をもつためケタミン様物質が脳細胞で生産され、これがNMDAレセプターに結合し、このとき臨死体験がもたらさられるとジャンセン博士は考えているのである。
ケタミンを体外から摂取するということは、まさにそれと同様なことが起こる、ということなのである。
大脳辺緑系とケタミン
すなわち、さまざまな感覚(視覚、聴覚、触覚等)を司る大脳皮質はいつも抑制されるが、辺緑系は抑制されない。
このため、ケタミンは、解離性(選択的)麻酔薬とも呼ばれる。(この薬を投与されたヒトは周囲からの分離感が強い事からもそう呼ばれている)
ところで、大脳辺緑系とは、食欲や性欲を視床下部とともにほとんど支配し、快感、怒り、恐怖といったいわゆる喜怒哀楽の情動をコントロールする脳である。
この大脳辺緑系が異常活動すると、精神病になることが最近わかってきたのだ。
動物の時代からあった大脳である、大脳辺緑系は、人間になってから、巨大な大脳新皮質が発達したため、周辺部に追いやられ、円筒状の複雑な形をしている。
しかも、大脳辺緑系は小型の脳の集まりであり、図示することが難しいくらいなのです。
イェール大学の神経生理学者、ポールマクリーンは、大脳新皮質が感覚装置と組んで、外界をみわたしているのに対し、辺緑系は内側でその役割を果たしている、と考えている。
ケタミンとグルタミン酸
ケタミンの形状は白色の結晶または結晶性の粉末で、においはない。水に溶けやすくエタノールにやや溶けにくい。また、マウスでの50%致死は77mgである。
一般的に全身麻酔薬は中枢神経系を全体的に抑制するが、ケタミンは興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸の脳内レセプターをブロックすることが最近の研究で明らかになった。
興奮を伝達する物質ははかに、アドレナリン、ドーパミン等があるが、これらはレセプターにより抑制に働くこともある。
グルタミン酸じたいは、古くから知られている有髄神経の神経伝達物質の代表で、人間の体内にある約20種類のアミノ酸のなかでも、もっともありふれて多いアミノ酸である。
有髄神経の最大の特徴は、無髄神経よりはるかに速い情報伝達速度にある。無髄神経より100倍速い。
グルタミン酸のレセプターは現在、10種類以上も単離されたのは6~7年程前で、いまもなおその働きについて盛んに研究が進められている注目のレセプターである。